出会い系のカギはこれだ
私を誘うのと同じくらいの頻度で、ほかの女の子にも声をかけていたとしたら、それはそれでまた、尊敬するだろうけど。
イカン、早く私は既婚者ですよと白状せねば。
そう思うたび、悪魔の心がシャシャリ出てきて、私にささやくのだ。
結婚してたって、楽しんでもいいんじゃない?不思議なのは、夫が彼からの電話を、1度もとらなかったことだ。
彼は私と夫が住むウチに、電話をかけてきていたのだ。
夫が電話をとっていれば、そこでこの恋愛ごっこはジ・エンド、となっていただろうに。
彼がコマメな豆男くんでなかったことが、幸いしたのだろう。
豆男くんのほうが通常、女性にモテるが、浮気・不倫には向いていない。
彼は浮気・不倫に向いていた。
神様は私にそういう相手を選んであてがい、私と一緒に浮気を楽しんでいたとしか思えない。
夫が電話をとるかもしれない、というハラハラを楽しみ、闇鍋デートもワクワクして味わっていたのだ。
数カ月の間、半分やけっぱちになりながらも、危ない橋を渡り続けたのは、そうしたスリルがたまらなかったのだ。
私自身もきっと。
そんなこんなで、私は混乱していった。
私は清廉潔白な人格者にはほど遠いが、人を編すことを生きがいにするほどのタマでもない。
会うたび、「今日こそは」と決心しては、言えずじまいのデートが続いた。
ある日、彼は私を東京タワーの夜景が美しい、穴場と思われるデートスポットに連れて行った。
キラキラと輝くタワーを前に、並んで腰掛ける。
周囲にチラホラいるカップルが肩を寄せあって、いいムードだ。
彼もそうしたムードを演出しよう、と思ったのだろう。
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